「年収1000万円の仕事は何か?」でどのような企業が高年収なのかを実際に示した。年収1000万円、2000万円といった高額な年収を目指せるのは、M&A業界、商社、不動産デベロッパー、あとは高年収が有名なキーエンスなどである。
なぜ高額な年俸を払えるのか?
これらの企業を見て、単に羨ましがっていてはダメだ。「なぜこれほどの高給を支払えるのか」を自分なりに分析しておくことが大切である。
平均して1000万円、2000万円といった給与を社員に渡せるのは、その会社の利益が大きいことを意味している。扱う商材の金額も大きい。つまり、相当な利幅が稼げているのだ。
M&A業界は文字どおり企業の売買を手掛け、その仲介とアドバイザリー業務で儲ける。つまり扱う商材は「会社そのもの」だ。当然大きな会社のM&Aとなれば、十億はおろか百億単位の金額で売買されるので、M&Aを手掛ける会社の手数料も莫大なものとなる。現在はコロナの影響もあって企業の統廃合がさかんに行われている。M&A業界は儲かるに決まっているのだ。
そして昔から高年収の定番とされる商社。食品から鉱物に至るまで、様々な商材を扱っている。商社はとにかく扱う商材の物量が膨大だ。大量の輸出入や流通、さらに総合商社であれば、国内外で商材に関連するビジネスへの事業投資や経営まで行う。結果として相当巨大な金額を扱うことになる。不動産デベロッパーもまた、商材がビルや土地であるため、扱う金額が大きいのだ。
キーエンスは、その徹底した効率重視の経営が高利益率を実現している。制御装置やセンサーのメーカーというイメージが強いが、キーエンスは工場を持たない。いわゆるファブレス経営で、徹底して利幅の取れる業態を追求し、企画や開発、そして営業のみを行っている。彼らは「モノは作らない」のだ。
儲かる仕事は決まっている
ここは大切なポイントだが、実は「儲かる仕事は決まっている」のである。現代では、高付加価値の商材やサービスでなくては儲からない。もちろん圧倒的な効率性や、時代に即した新しい企業体質も求められる。
キーエンスが工場を持たないのは、単なるモノづくりでは儲からないことを熟知しているからだ。安くて良いモノを作るだけでは、最終的には価格競争に陥り、中国を始めとしたコストの安い新興国に負ける。利幅は減り続け、とても社員に高給を払う余力はなくなっていく。
あなたの会社は儲かりそうか?
ここで残酷な質問だ。もし今あなたがサラリーマンなら、「あなたの会社は儲かりそうか?」
高付加価値な商材を用意し、大きな利幅を稼げるビジネスだろうか?
もしこの答えがNoならば、あなたがどんなに頑張ったところで、あなたは金持ちにはならない。しかし、これはあなた悪いのではない。頑張りが足りないのでもない。そもそも事業自体が「儲からない構造」なのである。これは大切なポイントだ。
正しい場所で正しい努力を
もちろん努力を積み重ねることは何より大切だ。安直に今の仕事を止めろという気も毛頭ない。しかし、なぜか日本人は「今やっていることを続けていれば、いつか必ず報われる」といった美談に酔いがちだ。
これは現代では注意が必要な考えだ。日本経済が好況ならばそれで良い。しかし、日本の経済は一向に上向かず、世界をリードしていたかつての面影はない。少子高齢化で若者は減少し、労働人口は減る。社会保障費が膨らむため、税金も上がるだろう。なおさら労働の効率化と生産性向上を推し進めなくてはならないが、古い体質がべっとりと染みついた日本企業は多い。
一つ本を紹介しよう。話題になっている「ブルシットジョブ」だ。無駄で意味のない仕事が多いのはなぜか、保育や介護など、社会に貢献している仕事なのにどうして低賃金なのか等々、現代の労働についての問題点をデータとともに精緻に分析していて、読みごたえがある。もしあなたが今、自分の仕事の収入や価値について悩んでいたら、手に取ってみて良い一冊である。
あなたの会社があまりに非効率なやり方で事業を展開していたり、あまりにコストがかかりすぎて薄利だというなら、潔く別の道を考えよう。正しい場所で正しい努力をすれば、それは必ず報われる。しかし誤った場所で誤った努力を続ければ、それは残念ながら徒労に終わる。
あなたの会社の売上、コスト、利益率を分析してみよう。業務の効率性も自分なりに検証しよう。そしてどんな仕事なら儲かり、稼げるのか?そのビジネスモデルは何なのか?業界や企業の動向を常に追いかける癖をつけよう。それはとても有意義なことだし、あなたが将来豊かになれるかを占うきっかけにもなるのだから。