年収2000万円を目指すにせよ、一般的にどのような職業なら高年収なのかを把握しておくのは大切だ。各業界の動向や企業体質を理解するのにも役に立つ。そこで、まずは年収1000万円以上を狙える仕事から考えてみよう。
「年収1000万円でも年収3000万円でもなく年収2000万円を目指すべき理由」で、年収1000万円なら、年功序列型の大手企業に入社し、50歳くらいになれば狙えるということを書いた。
もちろん年収1000万円でも、一般的には十分高年収である。しかし、この方法には問題がある。年収1000万円になるまで時間がかかりすぎることだ。50代になってその年収になっても、そこに至るまでの道は長く、その間の年収は1000万円には遠く及ばない。
言うまでもなくコツコツ努力するのは大切だ。それが無駄だということではない。しかし、もしあなたが若いなら、年功序列型の企業はグローバルな競争に敗北し、50歳になるまでになくなっている可能性が十分にある。そして「年功序列」という日本特有の古い制度自体、あなたが50歳になるまで存在しているかはわからない。
年収1000万円以上を狙える企業はどこか?
まずは一番シンプルに、年収1000万円以上のサラリーマンを考えてみよう。日系企業で考えるのであれば、単純に平均年収が高い企業を調べれば良い。ここでは2020年1月の東洋経済の記事を見てみよう。
順位 | 社名 | 平均年収(万円) | 平均年齢 |
---|---|---|---|
1 | M&Aキャピタルパートナーズ | 2478 | 31.3 |
2 | キーエンス | 2110 | 35.8 |
3 | GCA | 2063 | 37.9 |
4 | ヒューリック | 1636 | 39.8 |
5 | 三菱商事 | 1607 | 42.5 |
6 | ストライク | 1539 | 36.2 |
7 | 伊藤忠商事 | 1520 | 41.7 |
8 | 日本商業開発 | 1501 | 41.7 |
9 | ソレイジア・ファーマ | 1460 | 48.4 |
10 | 三井物産 | 1430 | 42.2 |
11 | 日本M&Aセンター | 1413 | 35.1 |
12 | フロンティア・マネジメント | 1398 | 38.5 |
13 | 丸紅 | 1389 | 41.9 |
〃 | 住友商事 | 1389 | 42.6 |
平均年収が高い会社ランキング(東洋経済より)
筆頭はM&Aキャピタルパートナーズ、続いてキーエンス、GCAと続く。以降もずっと有名大企業だらけだが、トップ10を見ると、高年収が狙えるのは、M&A業界、不動産デベロッパー、商社ばかりである。この手のランキングでは常連のキーエンスも、徹底して数字を追う姿勢と超効率的経営で高給を可能にしている。これらの企業に入社できれば、50歳などという年齢を待たずに、年収1000万円は実現可能だ。
どのような業界や企業なら、多くの年収が獲得できるかは覚えておこう。どの業界が高収益を上げ、そのリーダー企業がどこかというのは、これからの経済動向を占う上でも有益な情報であり、ビジネストークにも活用できる。
外資系企業の場合なら、さらなる高年収と好待遇も
上で述べたような各企業の平均年収は1000万円をゆうに超えており、上位3社に至っては平均年収2000万円以上と大変高額だ。しかし、少し注意しなくてはならないのは、これはあくまでも「平均」である。まだ経験のない新卒レベルでは、実はそれほど高額な給料にはならない。キーエンスでも新卒の給与は20万円程度だ(ただしボーナスは別)。M&Aキャピタルパートナーズは、そもそも新卒は採らない。
さらなる高年収と好条件を狙うならば、外資系企業が良いだろう。ゴールドマンサックスなどの外資系金融、投資銀行ならば、年収3000万円以上はおろか、億単位も可能だ。このレベルの年俸は、ほとんどの日系企業は一般社員には払えない。以前ほどではないとはいえ、基本的に超激務であり、数年荒稼ぎして辞めるというパターンも多いが、それでもこれだけの年収は魅力である。ビジネスマンとしての能力も恐ろしく上がる。外資系金融のキャリアがあれば、その後の転職も容易だ。
ただ、外資系金融の年収は魅力的だが、その労働環境はハード極まりない。そこで、それ以外の業種を考えるなら、今ならばGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)といった外資系のITトップ企業が良いと個人的には思う。特にGoogleは福利厚生が手厚くて有名だ。食事も飲料もお菓子も無料、プレイルームまである。世界の優秀な人材が多くいるし、育休などの制度も充実。環境は素晴らしいことこの上ない。私はGoogleに友人がおり、六本木のオフィスも渋谷のオフィスも訪れたことがあるが、正直、あのような企業文化と風土は日本の会社には育めないだろう。
GAFAはこのコロナ禍であっても、世界的ITプラットフォーマーゆえ、売上は絶好調だ。日系企業よりもはるかに未来がある。コロナで壊滅的ダメージを負った日本企業とは対極に、Amazonの2020年第2四半期の利益は過去最大だ。
もしあなたがビジネスの能力が高く、語学も堪能だというなら、高年俸が確実で、将来性も豊かな外資系の企業を狙うのが良いだろう。年収1000万円などすぐに超えることができる。
年収1000万円なんて無理?
皆さんはここまで読んでどう思っただろう?「自分には無理だ」と思っただろうか。
それでいい。
実際このような企業に入れる人間はごく少数のスーパーエリートだけだ。外資系金融にせよGoogleにせよ、東大や海外の有名大学といったSランクの学校を卒業し、頭脳明晰なうえにコミュ力もあり、人並み以上の努力を苦も無くできるような超人タイプしかいない。日系企業にしても、若くして高額年収が可能になる先述のような企業を目指すなら、相当な実力が求められる。つまり、多くの人にはそもそも無理だ。
しかし、年収1000万円なんて無理だと思うのは構わないが、「どうせ自分なんて…」と自暴自棄になるのは間違いだ。「誰でも年収2000万円になれるのか?」で書いたが、私もハイスぺとは程遠い人種である。当然これらの企業に就職できるわけもない。
大切なのは感情を交えないクールな現状認識だ。無理な方法論は無理ときっぱり峻別しつつ、「どんな職業なら年収1000万円以上が狙えるのか。そして、なぜそれらの企業は年収1000万円といった高額な給与を社員に支払えるのか」。これを自分なりに理解・分析しておくことは、より多くの年収を得たいと思う人にはとても大切である。
では続いて、「年収2000万円の職業」について考えてみよう。