年収2000万円を目指すにあたって、実際にそれだけの金額を稼ぐ経営者や社長、富裕層に会いたいと思う人は多いだろう。直接話せれば何よりも勉強になるし、もしメンターにでもなってくれれば最高だ。仕事のチャンスだって広がるかもしれない。
富裕層はどこに集まる?
これが検索すると色々出てきて面白い。例えば高級フィットネスクラブ、会員制のゴルフ場、乗馬場、ヨットクラブ、講演会やセミナー、交流会。定番のホテルのラウンジ、果てはギャンブル会場、テニスの試合というのまで出てくる。
ケチをつける気はないが、正直的外れだ。高級フィットネスクラブは、確かに富裕層もいるかもしれないが、熱心に運動に励む人に対して、どうやって会話の接点を持つのだろう?サウナかジャグジーあたりだろうか。
会員制のゴルフ場、乗馬場、ヨットクラブとなると、そもそも入会資格がある。メンバーでなければ敷地に入れないし、何より一般庶民では高額な会費を払えないだろう。ちなみにアークヒルズクラブや六本木ヒルズクラブといったメンバー制のクラブも同様で、入会金で200万円程度、年会費も20万円程度かかる。三井倶楽部は会員からの紹介が必要だ。各地のライオンズクラブやロータリークラブは入会資格が緩いが、それでも年会費は数十万円といったところだろう。
昔、「金持ちに会いたければホテルのラウンジに行ってお茶を飲め」(セルフイメージも高まるから)というのがあったが、あれも嘘だ。もちろん高級ホテルのサービスを知るのに、一番安価に済むのはティータイムなので、悪いとは言わない。しかし、今はいわゆるインスタグラマーも多くいるし、もし富裕層がいたとして、商談をしていたり、大切な人との会話を楽しんでいたら、そこに割って入るのは失礼だ。
講演会やセミナーは、その人が登壇者なら、懇親会など、直接話せる機会があるかもしれない。しかし、多くの人が挨拶するので、話せる時間はごくわずかである。また、そこに来ている富裕層と出会いたいというなら、多くの人の中から彼らを見出す目利きも必要だ。
富裕層に会うだけなら
単にお金持ちに会ってみたいというなら、今ならば六本木や西麻布にある気の利いたレストランやバーなどでいいと思う。先述のようなスポットは割と年配の方が多いが、私の実体験に基づいても、たしかに港区近辺のスポットには若手の経営者や金持ちが多く、よりカジュアルだ。立地的にIT系企業が集まる渋谷界隈からもアクセスが良いため、若手の経営者、富裕層は会食などに使いやすい。
もしあなたが素敵な女性なら、店内で声を掛けてもらえるかもしれない。あるいはガッツあふれる男性なら、富裕層と思しき人に思い切って話しかけてみるのも一手だ。今時の富裕層は、格式高い場所にしか集まらないということはない。この点はシンプルに富裕層やお金持ちと出会ってみたい人にとってはメリットだろう。
ただ、こういったスポットに集まるのは「年収2000万円を目指すなら、必ず2ステップで」で述べた②の金持ちだ。良く言えばノリは悪くない人も多いのだが、女性なら遊ばれるだけ、男性なら小間使いのようになってしまうこともある。よく見極めよう。
ちなみに、霞会館などは仮に「年収2000万円を目指すなら、必ず2ステップで」の③の富裕層でも集まることはできない。出自を問われるからだ。旧華族でなくては入れないといった厳格な格式がある。これはどんなに成り上がり、心を磨いた後でも無理である。
金持ちはあなたに会う必要などない
さて、ここまで読んでどう思っただろう?なかなかハードルが高いと思われただろうか。
残酷なことを一つ教えよう。
「お金持ちはあなたに会う必要などない」のだ。
多くの人は、富裕層に会って話を聞きたいと言う。「お金持ちになるヒント、仕事のヒント、果ては人生のヒントが欲しい」と願って。
しかし、富裕層からすると、「そんなものあなたに教える義理はない」のだ。富裕層というのは、お金、仕事、人脈等々、もうすでに様々なものを持っている。さらに別の何かが必要ならば、物品であれサービスであれ、単に「買えばいい」のである。
あなたが富裕層になるのが一番の近道
「お金持ちなら余裕があるだろう、少しくらい教えてくれてもいいじゃないか!これだから金持ちというのは傲慢で嫌だ」などと思っただろうか?
絶対にそう思ってはいけない。それでは余裕のある人から無償で何かを恵んでもらおうとする、いわば物乞いの発想だ。そんな姿勢では富裕層から相手にもされないし、何よりあなたの成長につながらない。
残酷なことをさらに教えよう。富裕層の時間は一般人よりも価値が高い。単純に同じ時間で稼ぎ出す金で考えても、富裕層の方が多く、平たく言えば彼らの時給は高いのである。だからこそ、富裕層は自分の時間の使い方に敏感だ。
たとえ単に楽しく飲んだり食事を楽しんでいるように見えても、それは大切な取引先との仕事かもしれないし、日頃の激務を忘れるためのひと時かもしれない。誰と会い、どんな場所に行き、どんな時間を過ごすべきか。富裕層は一般人の比ではないほど、ここにこだわっている。
つまり、あなたが富裕層に認められる「価値ある何か」を提供できなければ、彼らは時間を割こうとはしないのだ。ほとんどのものを手に入れられる富裕層からすれば、あなたに特別なメリットがない限り、会って話す価値がない。
富裕層に価値を提供する
発想を真逆にするべきだ。「富裕層から何かをもらう」のではなく、「富裕層に何かを与える」のである。
こうすると、富裕層はあなたと集う理由ができる。ではどうするか?
禅問答のようだが、これはあなたが金持ち、富裕層になるしかない。
第一、仮に富裕層と話せる機会が偶然訪れたとして、一般人は彼らが喜び、興味を惹く話題を提供できるだろうか?そもそも一般人と富裕層では、金銭感覚も経済観念も、行く場所も趣向も異なるのだ。
例えば富裕層が好んで行くレストランやスポットに一般人は行けるだろうか。金額的にまず無理だろう。とすると「●●は良いですよね」「●●というお店が美味しいですよ」といった話題一つできない。
世間話だけではない。あなたがしっかり稼いでいなくては、何よりも富裕層の興味を惹ける仕事の話ができない。あなたのビジネスが好調で、売上も良く、儲けているならば、「今こんな分野の仕事をしており、これくらい売り上げている、トレンドはこう、今後はこんな風に展開していく」といった話は難なくできるはずだ。あなたのビジネスが富裕層の人たちにもメリットがあれば、必ず彼らは乗ってくる。
もし、仕事の分野が違っていたとしても、あなたがしっかりと稼いでいれば、彼らと同じ金銭感覚、ビジネス感覚だけは持っている。つまり、全く話が合わないということはないのだ。
「類は友を呼ぶ」の格言よろしく、富裕層は富裕層でなくては付き合わない。もうお分かりだろう。価値観が合わないからだ。そして不思議なもので、冒頭で述べたような各スポットに出かけなくても、あなたがしっかりと稼ぐにつれ、必ず富裕層との縁は現れる。これは確かなことだ。
経営者や社長は、同じく経営者や社長としかつながらない。事業の大変さ、今後の展開、自分の会社の良い点、悪い点などは、同じく経営している人でないと分からないのだ。もしあなたが何らかのビジネスを興し、着実に形にしていけば、必ず他の社長や経営者との縁はできる。あなたが富裕層になるほど稼いでいれば、きっと話が合い、別の社長も紹介してもらえるだろう。そうやって富裕層のコミュニティは築かれていくのだ。
様々な情報に踊らされず、他人を当てにせず、あなた自身の力で富裕層を目指してほしい。その過程で、あなたは必ず富裕層たちに出会えるだろう。
ある世界的クリエイターと出会うまで
当初はここまでで記事を終えようと思っていたが、一つエピソードを紹介しよう。いわばケーススタディと思っていただけたら幸いである。
私が経営に携わる一社のCEOが、どうしても某クリエイターとの縁を作りたいという話を持ち出してきた。名前は伏せるが、彼は世界的に有名な人だ。
もちろん、紹介してくれる人脈はある。しかし、そういったビジネスライクな接し方では、世界的に有名なその人の記憶には残らない。もっとその人と一気に親密になれる方法論が欲しいと思っていた。
皆さんもどうするか考えてみて欲しい。
これは生きた学習だ。
富も名声も何もかも持っている有名人。彼の興味を惹き、我々を長年の友人のように扱ってくれるためにはどうしたら良いだろう?
とにかくまずは彼のことを調査しまくった。有名人であるため、幸い情報は拾いやすい。しかしそれだけではダメだ。自分たちの人脈も使い、どんな人物なのかを様々な筋に聞いて回ることを繰り返した。
結果、見えてきたのは、彼はあくまでもクリエイティブな作業に没頭したいタイプで、実務的な仕事のやり取りやマネジメントは、彼の奥様が全て引き受けているということだった。
この時点で我々のターゲットは奥様になる。オフィスにこもり、ひたすら何かを生み出す作業に没頭する生粋のクリエイター肌である以上、そうそう簡単に会いたいと言って会えることはないと判断したためだ。
すぐに分かったのは、奥様もまた某有名企業の出身だということ。そこでその企業の人脈を当たり、今度は奥様の情報を綿密に収集する。
一つ、我々の目を引いたのは、奥様はとある地方にある限定スイーツが好きだということだった。都心には売っていない。すぐに連絡し、入手はできることを確認した。ただし配送は不可で、その地方都市まで取りに行くしかない。
そうして数週間経った頃。奥様がある講演会に登壇することがわかった。奥様も著名な方なので、折に触れて講演会を行っているのである。
都内で行われたある講演会に、我々は参加した。
もちろん、当日はその限定スイーツを携えて。
講演終了後のパーティーで、我々は奥様に丁寧に挨拶をした。奥様はすぐさま我々の持っているスイーツが入っている袋に気付き、大変驚き、喜んでいた。
「こちらお好きなんですか!?私もなんですよ」と言った奥様に、我々は「今朝購入してまいりました。宜しければ召し上がってください」と笑顔で伝えた。
奥様は、我々に手書きの連絡先を渡し、別の機会にまた必ずお会いしましょうと伝えてくださった。
・・・そのしばらく後、我々は奥様とともに、その世界的クリエイターと会うことができ、ビジネスライクなものではなく、完全に友人として親睦を深めることができた。
真剣に人に会うということ
いかがだっただろうか?当たり前の話だが、これは自慢でも誇張でも毛頭ない。
あなたに「真剣に人に会う意味」を感じて欲しいのだ。
今はSNSもあるので、比較的簡単に有名人ともつながれるだろう。しかし、それはあまりに薄い関係性だ。忙しいお金持ちや著名人は、決してあなたのことを覚えてはくれない。本当にお金も地位もあるような人と懇意になるには、あなた自身が徹底的に考え、相手との接点を作り出す必要がある。こればかりは、ビジネス書にもMBAの教科書にも載っていない。
間違っても、どこかのスポットに行けば、偶然の富裕層との出会いがあなたをお金も心も豊かにしてくれるなどということはない。大切なのは富裕層であれ有名人であれ、相手にどんな価値を自分が提供できるかだ。 富裕層や有名人があなたと集いたくなる理由、それをどこまで与えられるか。この答えを出せるようになった時、あなたは多くの富裕層に会えるようになり、そしてあなた自身も富裕層になっているはずである。