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無能な人との付き合い方

無能な人は存在する

人間は平等。もちろん私もその理念を否定はしない。しかし、平等の理念が適用されるべきは、人権などのようにいわば人類が本質的に付与されるものに対してであって、個々の能力については明確な差が存在しており、そこには平等という概念はない。知力、体力、精神力、全て個人差があり、優劣がある。ここは峻別しなくてはならない。

年収2000万円を目指す皆さんなら、日々のビジネス環境で実感していることだろう。社会には驚くほど有能な人もいるし、残念ながら菽麦すら弁ぜぬほどの愚かな人、つまり無能な人もいる。その差異があまりに大きすぎて、対応に苦慮する局面もある。あなたも成功したいなら、できることなら有能な人に囲まれていたいはずだ。言わずもがな、その方があなたの仕事は加速し、質が上がり、成功に近づいていく。

しかし、そう素直に進んで行かないのが人生である。ともすると、無能な人に出会うこともあり、下手をするとあなたの大切なビジネスやキャリアのプランが台無しになってしまうケースまである。そんな時、あなたはどうするだろうか?

そこで今回は、この「無能な人」との付き合い方について掘り下げてみたい。こう思ったのは、あるコンサルタントからの相談がきっかけである。もちろん本人の了承を得たうえで、この文章を書いている。

あるコンサルタントの悩み

まだ冬の寒さも残るある日、知人のコンサルタントから、相談に乗って欲しいと電話があった。彼はまだ若いが、真面目で優秀、将来有望な一人である。いつも快活な彼にしては珍しく深刻な声だったのだが、当初は「まだ若いし、少し仕事で行き詰まったのかな」程度に軽く考えていた。

日程を調整し、コロナ禍の昨今を踏まえ、とあるホテルのテラスでコーヒーを飲みながら話を聞くことにした。しかし、そこに現れた彼を見て、私は絶句してしまった。

げっそりと痩せ、覇気もない。いつも元気に明るく振る舞う若者がこうも変わるものか、重い病気なのではないかと心配がつのる。胃が悪いのではと思い、コーヒーではない飲み物をすすめたが、彼はいつもどおり私と同じコーヒーで良いと言う。真剣な面持ちで話す彼に、私はじっくりと耳を傾けた。

無能な人の改善プロジェクト

無能な人の改善プロジェクト

彼がこうも変わってしまった理由は、端的に言えばとあるプロジェクトが原因だ。クライアントはかなりの大企業。簡単に言うと、業務品質改善の名の下に、人材の力量を上げてくれと言われている。

問題なのは、優秀な人をより高みへ導くのではなく、平均以下の能力しかない人材を、何とか平均的なレベルにまで向上させて欲しい、つまりボトムアップのプロジェクトだということだ。

実はこの手の案件は相当難しい…というか、言葉を選ばずに言うと「タチが悪い」。なぜなら、成果が出にくい、いやもっと正直に言うと成果がまず出ないからだ。

多くの人が誤解しているが、有能な人をより有能にするのはそんなに難しくない。しかし、優秀でない人をそれなりの平均レベルに持って行くのは至難の業である。実は有能なマネジメント層ほどこのことを熟知している。

年収2000万円を目指そうとしている皆さんならわかっているとは思うが、ビジネスとは畢竟(ひっきょう)弱肉強食だ。強い個体が生き残り、弱い個体は淘汰される。残酷に思えても、これは真実である。だが、多くの企業は会社の体裁を考えたり、内外からの批判を恐れたりして、この手のプロジェクトを組むことがある。ただ、昨今の大企業の動向を見てもわかるだろう。早期退職者の大量募集から明らかなとおり、内実は「首を切りたいだけ」だったりするのだが…。そして、その理由付けをコンサルタントに押し付けることがある。「専門家が改善しようとしてもできなかったのだから、この人材には去ってもらうしかない」という論拠を作るわけだ。

つまり、彼が任されたのはいわば「敗戦処理」のプロジェクトなのである。成果は上がりづらい。実はこういった案件を担当させられる時は、下手を打って上司の信頼を損ねたケースも考えられる。彼の部門も統括する一番上の部長は私の友人なので、一瞬彼のことを尋ねようかと思ったが、それはフェアでないので止めた。

無能の特徴

彼は涙ぐみながら悔しそうに語った。要はどんなに努力しても成果につながらず、対象となる優秀でない人たちを平均レベルに持って行けない。自分の責任であることは重々認めているが、どうしても相手の能力が乏しく、進めようがないのだと言う。

なるほど…言いたいことはよく分かる(苦笑)。そこで件の人たちには、実際どのような特徴があり、彼がどう感じているのかを尋ねてみた。

どんな説明も通じない

いかなるフレームワーク、概念を明確化した図やチャートを用いようが、また、デジタルのスライドだけでなく、紙やホワイトボードを使おうが、話が理解されない。手を変え品を変え、何とかわかりやすく伝えようと何度となく説明や言い回しを改良しているが、さっぱり理解してくれない。

優先順位や効率性を考えられない

より重要で喫緊のタスクがあるのに「今そんなところに注力する必要などあるか?」ということにとらわれていることがある。また「こうやったらもっと速く仕事を進められる」「この業務をこうしたらスムーズに進む」といった、効率を考える思考がない。結果的に、どの仕事もスピードがあまりに遅く、期日に間に合わない。

そもそもやる気がない

仕事である以上、与えられたタスクは着実にこなさなくてはならない。さらに今は業務の質を上げるコンサルティングの最中だ。そこで成果を出せなければ、その従業員は立場が怪しくなることを彼は知っている。自分に足りない知識やスキルを学び、本気で身につけなくてはならない局面だ。しかし、そもそも自発的に学ぶという習慣に乏しいため、「●●をいつまでに習得しましょう」とどんなに伝えても、そしてスケジュールに無茶は全くなくても、結局はやらない。参考文献やためになるサイトなどを別の時間に教えても、読むことも見ることもない。

しまいには自分が病む

あらゆる説明や説得も効果がないので、最後はやれチームワークだ、やれ同じ目標を共にする仲間なのだと精神論にまで訴えてみるが、その人たちが動き出すことはなかった。何をやっても効果がなく、上司にも詰められる日々が続く。しかし、どうにもやりようがない。自分の力量がないのか、人間としての器が足りないのかと煩悶し続け、結局は病んでしまう。

無能の特徴

彼が言っていたことを特徴別にまとめると、おおよそ上記のとおりである。知人だからと庇うわけではないが、最初に述べたように、彼には能力が十分あり、人間的にも何ら問題はない。このプロジェクトを除けば、私の友人である上司からの評価も高い。もう少し経験を積んだら、自分の会社の一つくらいはコンサルを頼んでみたいと思えるような人材なのだ。

残念ながら、これは相手側に原因がある。ひどい言い方に聞こえるかもしれないが、あまりに能力が乏しい、つまり無能なのだ。有能な人ほど、結果が出ないことを他人のせいにはしない。これは哲学としては正しいのだが、相手をよく見る必要がある。冒頭で触れたが、人間の能力には明確な差異がある。そして有能な人が無能な人を自分と同様に教化するのは難しい。あまりに価値観も、生きている世界も違うからだ。

無能とは何か?

彼の話に照らし合わせつつ、私が考える無能というものについて定義するなら、論理性と自発性の欠如ということになるだろうか。

論理性と言っても、例えばロジカルシンキングのような難しい概念ではない。「●●がこうだから、結果はこうなる」「現状が●●ということは、その理由はこれ」といったごく一般的な理論や理屈を構築する概念だ。

無能とは何か?

ことビジネスのフィールドで人に情報を伝えるには、どんな風に事象が展開するのか、また自分がなぜそう考えるのかという根拠を他者に説明する機会は多い。つまりここでは正しく論理性が必要になるが、無能な人というのは、びっくりするほど論理性がない。話す内容は散漫で、単に感覚的であったり、近視眼的だったりする。結果的に、本人の言葉は相手に伝わらず、逆に相手から何かを説かれてもわからないというケースが多発する。

自発性も然りだ。この記事を読んでいる皆さんは、年収2000万円を目指そうとする人たちである。以前も書いたとおり、年収2000万円を達成するのに、ハーバードだオックスフォードだといった超高学歴などは全く不要だが、自分の仕事やビジネスに対し、何のやる気もなく、ただダラダラと過ごすだけというのではお話にならない。

しかし無能な人というのは自発性、モチベーションというものが悉く欠落している。仕事はなるべく負担なくこなして給料が貰えれば御の字で、積極的に新たな知識を取り入れたり、効率や技術の向上を目指すなどということはない。会社にいる時間はただタスクを無難にこなすだけに終始し、さらに上のステージを目指すといった発想ももちろんない。

だが、今の時代、こういった人材はもはやどの企業でも必要とされていないのはお分かりのとおりだ。例えばバブル入社組は、大して仕事もしないのに給料だけは高い「働かないおじさん」だと揶揄されるし、若者に対しても草食化だ、ゆとり世代だと不名誉な称号が並ぶ。

何もかつての日本人の働き方が良いわけではない。しかし年収2000万円を目指したいと思う皆さんなら、対象がどんなものであれ、自分にとって必要とあらば、貪欲に習得しようとするだろうし、自分を律して目標に向けて邁進するだろう。そうでなくては何の成功ももたらされないのだから。

無能は変わらない

無能も有能も、時間をかけて作られる

無能も有能も、時間をかけて作られる

さて、ここまで読んであなたはどう思っただろうか。

同じような経験をしたことがある?あるいは私の知人の彼は力量不足と考えるか、はたまた自分ならばそういった人たちを変えられると感じたか?

残酷な結論を教えよう。実は無能は変わらないのだ。

何も難しく考える必要はない。とある日を境に人がいきなり無能になる、などということはない。持って生まれた才能や性格、育ってきた環境、習得した知識や経験等々が幾重にも折り重なってその人を形作る。社会人ともなれば、少なくとも誕生から20年以上は時が経っている。ある人が無能なのは、その人が20年以上の時間をどう過ごしたかの結果なのである。何十年にもわたる蓄積を、いかに優秀なコンサルタントといえど、短い時間で変えることなどできるわけがない。

逆に、有能な人にもまた同じことが言える。長い間、努力を厭わず、有意義な知識と経験の蓄積に励んだからこそ、その人は有能なのだ。つまり、無能も有能も時間をかけて作られるのである。

もちろん膨大な時間とコストをかければ、無能な人がレベルアップすることはあり得る。しかし、それはあまりに費用対効果が悪い。ましてや経済動向が全く上向かない今の日本にあって、大多数の企業にはそんな余力はない。

年端も行かない小さな子共なら、手厚い教化によっていかようにも能力は向上する可能性がある。しかし今対象としているのは、もう歳を重ねた大人である。長年積み重ねた悪習を断ち切り、まるで映画やドラマのように、人格が180度変わるというのは夢物語なのである。

無能な人にどう対処するべきか?

無能な人にどう対処するべきか?

では、あなたが実際にこのような無能な人に出会ってしまった場合、そして運悪くかなり長い時間を共に過ごさなくてはならなくなった場合、どう対処するべきだろうか?

これも早々に結論を伝えよう。「逃げろ」。

これだけである。

随分とひどい話だと思われただろうか。しかし、若い頃の私に仕事の要諦を教えてくれた尊敬するメンターも同じことを言っていた。差別的にも聞こえかねないから、くれぐれも他言するなという前置きをしてから、「無能からはとにかく逃げろ、関わるな。絶対マイナスになることしかない」と私に説いた。いつも優しくて冷静、仕事は一流というその方から、この言葉を聞いた私は驚いたが、今ならよく分かる。以下にその理由を挙げよう。

無能はあなたを貧乏にする

コンサルタントの彼よろしく、無能な人と一緒の環境で仕事をすると成果は上がらない。あなたが会社員なら所属部署の評価は低くなり、延いては昇給に響くだろう。また、あなたがビジネスを行っている場合、無能な人材を雇用すれば、売上が上がるわけがない。つまり、あなたは年収2000万円を目指すはおろか、豊かになる道からどんどん遠ざかっていく。

無能はあなたを病気にする

言うまでもなく、組織にとって人材は大変重要な要素である。良い人材に恵まれれば、売上や利益の向上だけでなく、人間関係も良好な組織ができあがる。しかし、無能な人がいれば、それは常に悩みの種となる。外国と異なり、日本の会社では一度雇用すると、そう簡単にクビを切ることはできない。悩みの種が常に身近に存在していたらどうなるだろう?仕事に集中してより高みを目指せるだろうか?…やはりコンサルタントの彼と同様、いつかあなたは病んでしまうだろう。

無能といると、あなたも無能になる

実は一番の問題はこれだ。「朱に交われば赤くなる」の諺ではないが、無能な人がそばにいると、良くないことに、あなたも無能になってしまう恐れがあるのだ。人間は良くも悪くも環境に慣れてしまう生き物だ。無能な人の仕事の進め方を間近で見続けるのは害悪である。仮に最初はそれではいけないと自らを律したところで、状況が変わらないのであれば、やがて諦めてしまい、「まあこんな程度で仕事をすれば良いのか」などと誤った価値観に染まってしまう。あなたが高い目標を掲げるなら、これだけは避けねばならない。

年収2000万円を目指したいなら、付き合う人は慎重に選ぶべきだ。再度言うが、別に超高学歴のようなものは関係ない。しかし、今まで挙げてきたような、無能な人は避けなくてはならない。あなたがビジネスを興そうとしているならなおさらである。雇われる側の会社員の場合、実感しづらいかもしれないが、あなたが経営者になり、人を雇う側になったら、無能な人をメンバーに加えてしまった際の被害がよく分かるだろう。コンサルタントを雇ってでも論拠を作り、解雇する余裕など、興したばかりの小さな会社にはありはしない。

今の日本には無能を支える余力はない

あらゆるメディアが「失われた30年」と報じるように、日本経済はバブル崩壊後、回復の兆しのないまま数十年の時が過ぎてしまった。国民一人当たりのGDPでは世界で30位近辺にまで凋落し、欧米に遠く及ばない。これもまた問題視されているが、労働生産性もOECD加盟国の中で著しく低いのも周知のとおりだ。さらに給料も安い。アメリカや、果ては近隣の韓国まで、この30年で給料は200万円上がっているが、日本は20万円程度しか上がっていない。つまり、日本は成長していないのだ。

その間、GAFAなどを筆頭に、海外では新たな企業が生まれ、優秀な人材を世界中から集めて事業を爆発的に発展させ、もはや社会インフラのようなプラットフォームにまで成長させた。もうこの溝は埋まらないだろう。

今の日本には無能を支える余力はない

実は日本の企業にはもはや余力がないのだ。かつての成長期の日本なら、どんな人も年功序列で徐々に給料も上がっただろう。ほどほどに頑張っていても何とかなった。しかし、今はそんな時代ではない。年功序列は崩れ、それこそ、仕事はできないが社内のムードメーカー的な人など雇い続けることなどできないのだ。先に触れたとおり、企業は膨大な早期退職者を募り、仕事のパフォーマンスが低い人材をとにかく減らそうとしている傾向からも明らかである。

ずいぶん世知辛い話と思われただろうか?

それならば、あなたがなるべきはビジネスマンではない。カウンセラーだ。

皆さんが勝負する土俵は社会である。学校ではない。誰もがみんな仲良く等しく成長するなどということはあり得ないのだ。それが残酷と思ううちは、残念だが年収2000万円はおろか、年収1000万円にも届かないだろう。冒頭でも書いたが、ビジネスはやはり弱肉強食である。だが、本来はビジネスの原理に則り、強い者を残した方が、その会社は強くなり、延いてはビジネス環境の新陳代謝が起こるのは真実だ。これを着実に実行したのが諸外国であり、実行できなかった日本は30年もの間、経済が停滞し続け、皆貧しくなってしまったのである。

人には明確な能力差があり、歳を重ねるほど、その差を埋めることは難しくなる。人数は少なくても良い。ただ、いつでも周りには、あなたの学びになる有能な人がいる環境が望ましい。そしてあなたもそのような人たちと同様になれるよう、刺激を受けつつ努力してほしい。きっと猛スピードで成功に近づけるはずである。

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